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野生生物の違法取引(野生生物犯罪)

外国からの野生生物の密輸

ワシントン条約で規制されている絶滅のおそれのある野生動植物やその製品は、条約で求められている許可なしに輸入することはできません。これに違反した場合、空港や貿易港の税関は、「関税法」に基づいてその輸入を差止めることになっています。このようなケースは毎年1500件前後にもなります。海外旅行のおみやげにと、ワシントン条約違反とは知らずに装飾品や漢方薬などを持ち帰るケースもありますが、業者が日本での販売を目的に密輸するケースも少なくありません。

密輸取締りの現状・・・象牙密輸の場合

象牙の国際商業取引はワシントン条約で原則禁止されています。それにもかかわらず日本への象牙は後を絶ちません。密輸象牙はほとんどアフリカゾウの牙で、多くはアジアの国々を中継して飛行機や船で運ばれます。つまり一件の密輸事件の背後には、アフリカでの密猟に始まり、アジアの国々を中継して日本にいたる、犯罪組織の連携が存在しているのです。

とくに未加工の象牙は、おみやげなどとして違法と知らずに持ち込んだのではなく、日本で印鑑や装飾品に加工して販売することが目的と考えられます。

ところが、税関によって輸入が差し止められても、刑事事件として処罰するために告発される割合は大変少ないのです。ゾウの保全とワシントン条約の遵守のためにも、犯罪組織の資金源を断つためにも、厳しい法の執行が望まれます。

国内での違法取引

税関の検査がまんまと出し抜かれ、ワシントン条約で規制されている野生生物が、国内に持ち込まれてしまった場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法)という法律は、ワシントン条約の附属書Tに掲載されている種に限って、国内取引を規制しています。具体的には、条約に違反せずに取得されたかどうかの審査の後、環境省に登録されたものに限って取引が許されます。

しかし、登録審査が甘く密輸品の登録を認めてしまうおそれがある、種の保存法違反(無登録売買や不正登録など)に対する罰金が違法取引で得られる利益と比べて低すぎる、懲役・罰金とも関税法に定める密輸に対する罰則などと比較して軽すぎるといった問題があります。

違反者の営業を停止・禁止することができない

野生生物犯罪を行なった業者に対する罰則はあっても、違反者やその経営する会社の営業を停止・禁止する法律がありません。

例)R社の事件

ペット用は虫類の大手卸業者R社が、密輸したワニ、カメ、イグアナなどの希少は虫類を、合法であるとしてペット店に売りさばこうとした事件です(2006年判決)。経営者は、以下のとおりワシントン条約違反の常習犯でした。

1989年10月 シロテナガザル、ベンガルヤマネコをタイから密輸
(関税法違反 懲役2年、執行猶予3年)
1989年12月 ワシントン条約対象種密輸
(関税法違反 罰金刑)
1993年 マツカサトカゲをオーストラリアから密輸
(関税法違反 禁固刑)

・種の保存法違反に対する罰則が関税法に定める罰則などと比較して軽すぎる
R社の経営者の受けた刑罰:懲役2年6カ月(種の保存法違反、詐欺罪)、R社に対し罰金180万円(種の保存法違反)。
R社から依頼された「運び屋」が受けた刑罰:懲役3年罰金200万円(関税法違反種、保存法違反)。

・罰金が違法取引で得られる利益と比べて低すぎる
不正登録に対する種の保存法違反の罰則は6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金。一方、R社が違法取引したガビアルモドキ(ワニの仲間)の売却益はは1匹83万円にものぼりました。

・違反者の営業を停止・禁止することができない
今回の事件で、R社、経営者、従業員1名が処罰されましたが、R社は営業を続け、大規模なは生類ペットの展示会も開催し続けています。

※資料:JWCS裁判傍聴記録