理論研究会の成果

理論研究会

 「NPO法人野生生物保全論研究会(JWCS)」の前身である任意団体「野生生物保全論研究会」は、1990年春、その時々の問題や保全論の背景となると思われる科学、哲学、思想などを検討する会として発足し、「理論研究会」を立ち上げました。
 日本の自然保護運動は着実に進展しているものの、これらの運動が本当に日本の文化として定着し、運動の実をあげるためには、自然保全・野生生物保全が確かな理論的根拠を持ち、論理性に貫かれたものになることが重要だと考えたからです(『野生生物保全論研究会会報』No.2 1995.2.27 より要約)。

この理論研究会の議論を元に執筆した論考およびセミナーの記録をご紹介します。

理論研究会の記録

2016年

会報No.78 野生イルカの展示目的による捕獲問題をめぐってPDF 並木 美砂子

2015年

会報No.76 世界動物園水族館協会からの脱退勧告が意味することPDF 並木 美砂子
会報No.75 自然界における人間存在を問うPDF 古沢 広祐

2014年

会報No.72 自然保護を伝えるには~自然保護教育の原点から考える~PDF 小川 潔

2012年

会報No.65 ポスト3/11の日本において
調査捕鯨の堅持を選択することに政策的妥当性はあるのか(後編)
国益論から見た日本の捕鯨政策-中曽根内閣による政策仕分けの試みと挫折-
PDF
森川 純

2011年

会報No.64 ポスト3/11の日本において
調査捕鯨の堅持を選択することに政策的妥当性はあるのか(前編)
-周到に準備された結論と「鯨類捕獲調査に関する検討委員会」の関係-PDF
森川 純

2009年

会報No.58 野生生物保全と生物多様性保全PDF 岩田 好宏

2007年

会報No.51 ウガンダにおける野生動物の価値PDF 安藤 元一
会報No.49 CITESの歴史から見たアフリカゾウと日本PDF 小原 秀雄
書評 『捕鯨問題の歴史社会学 捕鯨問題の歴史社会学 捕鯨問題の歴史社会学 ―近現代日本におけるクジラと人間 近現代日本におけるクジラと人間 近現代日本におけるクジラと人間 ―』PDF 森川 純

2006年

会報No.47 NGOに「一寸の虫にも五分の魂」をPDF 小原 秀雄
会報No.46 本の紹介『自然保護の神話と現実-アフリカ熱帯降雨林』PDF 小原 秀雄
会報No.45 野生生物保全思想と教育PDF 岩田 好宏

2005年

会報No.42 本の紹介『動物の命は人間より軽いのか-世界最先端の動物保護思想』PDF 本谷 勲
会報No.41 JWCSと地球の野生物界保全― 自然と社会の変動を見つめて― PDF 小原 秀雄
会報No.40 生物商品としての野生生物とCITESPDF 小原 秀雄

2003年

会報No.35 日本の外交・海外援助政策と野生生物多様性保全PDF 小原 秀雄
日本外交と象牙問題とNGOPDF 森川 純
会報No.32 野生生物保全論研究会にとってのワシントン条約PDF 小原 秀雄
生物多様性について(連載第3回)PDF 浦本 昌紀

2002年

会報No.31 ワシントン条約をめぐる「いま」PDF 小原 秀雄
生物多様性について(連載第2回)PDF 浦本 昌紀
会報No.30 「捕鯨問題を論じる」を特集するにあたってPDF 小原 秀雄
商業捕鯨を問うPDF 本谷 勲
会報No.29 「ユウタン(熊胆)取引とクマの保全」を特集するにあたってPDF 小原 秀雄
自然における人間を問うPDF 本谷 勲
生物多様性について(連載第1回)PDF 浦本 昌紀

2001年

会報No.23 なぜ野生物保全教育が重要かPDF 小原 秀雄

2000年

会報No.22 ジンバブエにおける”CAMPFIRE”プロジェクトの検証PDF 窪田 恵理子

1999年

会報No.16 象牙取引再開がもたらすもの
-「カネ」が再び第三世界の野生生物を支配し始めた-PDF
小原 秀雄

1997年

会報No.12 今なぜ「サスティナブル・ユース(持続可能な利用)」を論究するのかPDF 小原 秀雄

小原秀雄 生物多様性を語る

「生物多様性の保全」という言葉が使われだした1990年代の初めから、JWCSの理論研究会は、その概念について議論を重ねてきました。「生物多様性を保全する」といいながら「野生生物保全」にはなっていない保全プロジェクトがあるのではないか――。
そして本来の意味の「生物多様性の保全」が実現するよう、教育普及活動を行っています。

「生物多様性」と和訳された英語の「Biodiversity」という言葉には、dis(分離・拡散)vertere(向かう・行く)、つまり進化の結果さまざまな生きものが地球に存在するという意味を含んでいます。しかし、日本では「多様性」という言葉は単に「種類がいろいろある」という意味でとらえられることが多いのではないでしょうか。そのため「生物の歴史の中で、この生きものがこの場所に生きている意味」や「この生きものが未来に向けて進化していく可能性」といった進化、地史を考慮していない保全活動があるように思われます。人間活動によって生物多様性が失われてきたのですから、野生生物の視点に立って考えると生物多様性保全にはまず「野生の世界は野生のままに」、人間による影響をこれ以上広げないことが重要であるとJWCSは考えています。