「象牙取引規制に関する有識者会議」は具体的提言を!

都知事への書簡

 東京都は、「東京オリンピック・パラリンピック2020」を控えた2020年1月、「象牙取引規制に関する有識者会議」を設置しました。日本からの違法な象牙の持ち出しが問題になっていたからです。

 その後、オリ・パラの延期と訪日客のいない開催を経て、有識者会議はパンデミック収束後の国際都市東京を見据えた提言へと議論が移っていきました。

 そして2022年1月27日、第6回東京都象牙取引規制に関する有識者会議が開催されました。議論されたのは、同会議の意見を取りまとめる「報告書骨子(案)」です。
 これまでの会議で、日本からの違法輸出(第1回)、都内の象牙取扱業者の実態調査(第2回,5回)、根付師へのヒアリング(第3回)、象牙の認証・ラベリングの検討(第4回)、取引規制を東京都条例とした場合の法的位置づけ(第4回)を議論してきました。
 そして伝統芸術に配慮した規制が可能なこと、合法象牙を認証して取引するコストを負担できる市場規模ではないこと、国内実施法をサポートする「助太刀条例」として都独自の規制が条例として可能であることが共有されました。
(これまでの会義の動画及び資料は東京都のウェブサイト新規タブまたはウインドウで開きますに公開されています)
 しかし今回の取りまとめの段階になって、日本の市場はそんなに大きな問題になっていない、条例も需要の削減も賛成できないと主張する委員がおり、なんら現状を変えない提言になる可能性が出てきました。

 そこでJWCSを含む世界のNGO9団体から都知事に宛て、「象牙取引規制に関する有識者会議」設置の趣旨に矛盾しない、具体的提言をするよう要望する書簡「象牙取引規制に関する有識者会議による具体的提言の必要性についてPDF」を送りました。

 ワシントン条約で象牙の国際取引は禁止されていますが、国内市場についても、2016年の第17回締約国会議での勧告決議(決議10.10)で、密猟や違法取引に寄与する合法の象牙国内市場の閉鎖が勧告されています。そして中国は2018年、香港やシンガポールは2021年に国内取引を禁止しています。

 東京都の動きは世界から注目されています。有識者会議が設立の目的を果たす報告書を作成することを望みます。