【CBD COP10レポート】手をつなぐNGO

 会議場では、閣僚級の会議、具体的な決議文を議論する作業部会が二つ、意見が割れている議題を別の部屋で話し合う「コンタクトグループ」や「議長フレンズ」、そのほかの非公式な交渉が同時進行で行われているので、会議の全体像をつかむのは大変です。そのためNGO、ビジネス、アフリカグループなど、グループごとに朝のミーティングが毎日開かれています。

 28日は朝のNGOのミーティングに参加しました。国際NGOのCBDアライアンスが主催しています。幸い日本語の通訳があります。二つの作業部会の報告と、コンタクトグループに参加して一つの議題を追い続けている人たちからの報告がありました。
 
 例えばサトウキビから作るアルコールなどバイオ燃料は、地球温暖化の問題から「地球にやさしい」燃料と注目されましたが、同じ作物を大量に栽培する必要があり、生物多様性保全だけでなく食糧供給の面からもマイナス面が指摘されています。朝のミーティングでは、昨夜までのコンタクトグループでブラジル、フィリピン、ボリビアがバイオ燃料を推進したい立場で発言していたことなどが報告されました。

 こうした情報は、NGO発行の国際会議速報『eco』に掲載されています。これはCBDアライアンスが英語版を発行し、日本の CBD市民ネットが翻訳しています。

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 28日、その日の午後、バイオ燃料のコンタクトグループから出された文書が第1作部会で議論されました。ブラジルがたびたび異議を唱えましたが、多くの国に押し切られる形で譲歩し、この議題は採決されました。

 朝のNGOミーティングでは、「状況を追いかけ、それぞれの国の政府やコンタクトグループに働きかけて行きましょう。まだ終わっていません。観光に行ってはダメですよ」との発言もありました。

 そして次回COP11の開催国インドのNGOに、COP9開催国のドイツのNGOが作り、COP10開催の日本のNGOが飾りつけた「バトン」が手渡されました。
 

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 生物多様性の危機的な状況を考えると、あせる気持ちはどのNGOも同じだとミーティングに参加して思いました。そしてNGO同士が手をつなぎ、地道な活動を積み重ねるしかないのでしょう。

 とっても小さいNGOであるJWCSも、締約国会議が日々のくらし(買い物)の延長にあることを伝え、「生物多様性を守ることは常識」になるよう活動していきたいと思います。

JWCS 鈴木希理恵