【CITES CoP14】アフリカゾウの附属書改正審議状況⑥ 合意に達するか?

◆ 6月12日、第Ⅰ委員会で行なわれたアフリカゾウの附属書改正に関する議論を詳しく報告。その6

修正案を検討、結果は明日へ持ち越し

議長は、議事進行手続にしたがい、取引への規制の程度が弱いものから順に討議を始めると宣言、ナミビアによる提案4(4カ国からの年輸出枠付で継続的取引)の趣旨説明を求めました。
これに対して、ナミビアは南アフリカの修正提案から議論してもらいたいと発言。その後、ナミビアなどいくつかの発言がありましたが、結局趣旨説明が行われたのは南ア修正案についてだけでした。
ナミビアは、南ア修正案は、12日間の交渉に基づく妥協案であると冒頭強調しました。
法執行は経済的インセンティブと結びつかなければ効果がない。
生物学的には議論の余地はなく、本来は、普通に附属書Ⅱ掲載種として取引してよいはずであると強調しました。また、モニタリングのためにすべての取引を停止する必要はないが、国際協力をする趣旨でCoP16まで新たな象牙取引を凍結することをのむと述べました。
また、CoPでアフリカは象牙問題だけに集中して他の問題に関心を持ってこなかった、他の議題に目を向けるためにも、この問題をCoP外の常設委員会で議論することには意味があるとも述べました。

ナミビアの環境大臣も一部発言し、ゾウは過去10年間で2倍に増えている。生息地消失がゾウに対する主要な脅威であり、増えたゾウは農作物への被害をもたらしている。象牙取引の対価は地域コミュニティーに還元するとしました。

ドイツは、次のように発言しました。
科学的情報に基づいて決定するのだが、しかしそれだけでなく、心で感じる問題でもある。ヨーロッパ人にとってゾウはすばらしい存在。アフリカ諸国の対話によってその内部で決まっていくことを願う。EUはそれを支援していく。対話会議のある夜のセッションで解決にかなり近づいたと思われたことがあった。そのとき議論された内容に基づいて提案を作った。もう少しでコンセンサスに達するのではないかと思う。

ケニアも、この2週間、妥協案を探ってきた。EUの修正案は、もっとも影響が少なく、コンセンサスに導くものであるとして、コンセンサスへの意欲を示唆しました。

常設委員会議長でもあるチリも、それぞれの修正提案の差は少ないので、それを埋める努力をすべきでないかと発言しました。

ここで議長は、EU修正提案、南アフリカ修正提案、ケニア修正提案の3つをベースに、常設委員会委員長を議長にして、コンセンサスをめざして修正案を検討しつつ、それができなければ全体会に戻すことにしてはどうかと提案しました。反対はなく、関係国間の折衝が開始されることになりました。
もしコンセンサスが得られれば、明日の第Ⅰ委員会で決着がつくことになるでしょう。しかし、大変難しい判断ではありますが、私個人は、EU提案をベースにコンセンサスをとることがよいのかどうかについては、様々な意味で疑問をもっています。交渉の結果がどうなったかは明日を待たなければなりません。

 

(JWCS事務局長 坂元雅行)