【CITES CoP15】歴史長い象牙取引問題

ワシントン条約会議も終盤8日目を迎えました。議題はクロマグロだけではありません。

今日のワシントン条約会議はアフリカゾウ一色!タンザニアとザンビアは自国の個体群を附属書Ⅱへダウンリストと在庫象牙輸出を求める一方、ケニアなどが象牙取引20年間凍結のモラトリアムを提案。日本は象牙購入国。どんな議論になるか?

まずは、タンザニアが提案を読み上げます。結構熱が入ってアツい!!
と思ったら、いきなり「投票」になるような話でわけが分からず。。。

まず、タンザニアがオリジナルの提案から、ダウンリストの問題と一度限りの取引の二つに分けて議論することをその場で修正提案。
それについて、タンザニア案の第一回の投票が行われました。
分けて議論することに対して、タンザニアの提案に対して賛成76反対37棄権14、よってタンザニア修正案が通過。分けて投票されることに。

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そこで、ダウンリストについての議論に入る。日本が発言。個体数が増加していることと保全に力をいれることと言おうとしたら要点を!といってマイク切られる。ケニアの挟み込むがまたマイク切られる。今の議題のタンザニアに限ると議長に言われる。タンザニア個体数が増加していることと一度限りの取引がゾウの保全管理に使われ、日本にはしっかりした管理体制があることを主張。

第一委員会の議長は南アの人。発言を要求しても誰が発言するか決めるのかは議長。議長は常設委員会を通じて事務局が決める。背後にはUNEPが力をもっているようです。

ようやく反対の国が発言できるようになった。リベリア、インド、コンゴが一度限りの取引に反対を示す。まず提案内容を分けてから一度限りの是非を後で議論するというタンザニアの戦略を南アが裏で支えているようです。

今からタンザニアの個体群のダウンリストの投票開始。午前は、タンザニアの提案に賛成47,反対45で3分の2を取れずに棄却されました。

その後、一度限りの取引について投票が!棄却されたのになぜ?ダウンリストされない限り一度限りの取引なんてできないのに・・・手続き上の議長の裁量らしい。いぜれにせよ、タンザニアの提案は否決。終わると同時に、アフリカの取引反対国からは喜びの拍手が。

 

ランチで日本政府はがっかりしてましたよ。

午後の委員会始まりました。今度は、ザンビアが自国のアフリカゾウ個体群を附属書Ⅱにダウンリストする提案を読み上げています。ザンビア政府は、子供がゾウに襲われるという地域住民との軋轢の問題も訴えています。ウガンダからCOP14で決めた9年間のモラトリアムはそのときの附属書Ⅱの個体群だけで、これからダウンリストされるものは含まれないことを指摘し、ザンビアも支持。事務局からも決定事項の確認の発言があり、議論続行。

米国と日本が発言。個体数も回復しザンビアの管理もできているという理由で、ザンビアの修正案に賛成。EU代表してスペインも、専門委員会の示すように個体数が増えているとして提案に賛成。南アフリカはもちろん支持。

一方、ケニアは人間とゾウの軋轢はダウンリストとは関係ないと言及。密猟なども増加を懸念してます。

ザンビアのダウンリストの提案に対しての投票結果は、賛成55反対56棄権40で否決。

個人的には、象牙についてCITESでクロマグロにくらべものにならないくらいの気迫を感じてます。

会議終わっても象牙業界関係者は、席で打合わせ。今日の否決を受けてか??象牙ロビーは、うまくいかず。隣のまぐろ、かつお協会は明日のサメに備えてなにやら綿密に相談している感じですかね。

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夜は、JWCSが長年お世話になっているケニアの国立公園の発展に偉大な貢献をしたオリンド博士と夕食。彼は、ワシントン条約ができる前から象牙の問題に関わり、全部のCITESに参加したと言っても過言でもないエキスパートです。アフリカゾウの保全ネットワークを取り仕切るパトリシアさんにもいろいろ今日起きたことについて教えて頂きました。

午前中、突然の修正案に驚いたり、その場で何が起きるか分からないことだらけでした。象牙問題はご存知のように歴史の長い問題です。 当初に比べると保全を目的としていた条約も商業利用傾向になりつつある。この鍵を握るのは、議長であることを今日は特に感じました。

無事に象牙問題が終わり、オリンド博士は今夜ナイロビに帰国されました。

明日はサメです。どんな議論になるのでしょうか!?