【CITES CoP16】フカヒレ需要で減少したサメと乾燥エラが取引されるマンタ

●いよいよサメ!
 
ワシントン条約締約国会議7日目はサメとマンタの規制を強化する提案の検討でした。
サメとマンタに関しては、複数の国際NGOが協力してキャンペーンをしていました。
 
サメに関するサイドイベントはいくつも企画され、今回もっともNGOが力の入れているテーマのように思いました。キャンペーンを担当しているのは女性が目立ち、2012年にインドで開かれた生物多様性条約締約国会議COP11で見かけた顔もありました。サイドイベントの準備や会議の休憩時間に配布資料を片手にロビー活動などいつも忙しそうにしていました。
(写真:サイドイベントで展示されたフカヒレと乾燥したマンタのエラ)
 
提案国がつくった配布用資料(2枚目以降参照)をNGOスタッフが配っていました。
 
 
 
●ヨゴレ(サメの名前です)
月曜日、委員会1では、日本では「ヨゴレ」、英語では Whitetipと呼ばれるサメの討議から始まりました。肉も消費されますが、高価なフカヒレが国際取引の目的になっています。国際取引に許可が必要な附属書Ⅱに掲載する提案が、ブラジル、コロンビア、米国から提案されました。マグロやカジキいっしょに混獲されやすい種です。
 
前回の締約国会議で否決されているので、注目を集めていました。今回の提案では取引規制を始める時期を18カ月遅らせ、管理や技術の問題を解決できるようにという注釈がついています。
 
私は帰国しなければならなかったので、この投票をJWCSの事務所でインターネット中継を見ていました。(Web Cast
 
投票は無記名投票で、賛成92、反対42 棄権8 で採択されました。

 
●シュモクザメ
続いてシュモクザメ3種を附属書Ⅱに掲載する提案です。アカシュモクザメ、ヒラシュモクザメ、シロシュモクザメのヒレは大きく、とくに高価で取引されます。ヨゴレ同様、発効が18カ月延長されるという注釈つきです。
 
  • アカシュモクザメ提案の一部を和訳 (前半後半) 
  • アカシュモクザメのIUCNレッドリストの一部を翻訳(書類記載の電話番号は変わっています)
    群れをつくるので、全体の生息数が少なくなっても群れあたりの漁獲量は多くなると書かれています。(=減少に気づきにくい)
  • ヒラシュモクザメのIUCNレッドリストの一部を翻訳(書類記載の電話番号は変わっています)
    捕獲されると死にやすく、過去25年間に少なくとも80%は減少したと書かれています。
シュモクザメの提案の投票は無記名投票で行われ、 賛成91、反対39、棄権8で採択されました。

●ニシネズミザメ
以前の締約国会議で否決され、3度目の提案です。これも18カ月の発効の延期が注釈に書かれ、附属書Ⅱに掲載する提案です。
日本近海で漁獲されるネズミザメ(モウカザメ)とは種が違い、大西洋に生息しています。提案書には北、南西大西洋および地中海では個体数の著しい衰退と書かれています。
 
ニシネズミザメの提案の一部を翻訳 
 
投票は無記名投票で 賛成93、反対39、棄権8 で採択されました。
 
●オニイトマキエイ(マンタ)
 ブラジル、エクアドル、コロンビアの提案で附属書Ⅱに掲載する提案です。
マンタは繁殖率が低い一方、混獲や、エラだけを切り取る漁があり、高価なエラを目的に漁が増加傾向にあると提案書に書かれています。
 
オニイトマキエイ属の提案書
前半後半
 
投票は賛成96、反対23、棄権7で採択されました。
この11日の委員会の結果を、規制強化を主張してきたNGOは評価する一方、本会議で覆されるのではないかという声もあります。
 
12日火曜日の委員会では、マンタに続いて討議された淡水エイを附属書Ⅱに掲載する2つの提案が記名投票で賛成と反対がどちらもほぼ同数で否決されました。日本は2つとも反対に投票していました。
淡水エイは日本へは飼育用に輸出されています。
 
(鈴木希理恵 JWCS理事)