【CITES SC69】調査捕鯨が議題に

ワシントン条約第69回常設委員会に参加しています。
第一日目は、午前中は条約の財政などの報告で、午後から個別の議題が議論されました。
 
そのなかでも議論が白熱したのが、「日本の調査捕鯨はワシントン条約違反ではないか」という条約事務局が提出した議題です。
 
ワシントン条約は国際取引に関する条約ですが、公海からの水揚げ(参照:海からの持ち込み(和訳))も対象となります。日本は条約対象種のクジラの多くを条約の対象外とする「留保」をして、調査捕鯨を行っています。(参照:日本が留保している種
 
ところが北西太平洋のイワシクジラについては留保していないので、公海での科学目的ではない捕鯨は条約違反になります。条約に違反すると、条約事務局から取引停止の勧告が出されることがあります。
取引停止勧告の例

常設委員会では、日本政府は捕鯨は科学目的であり、条約の手続きに従っていると激しく反論しました。これに対し、日本政府を支持する発言をした国はありませんでした。
 
NGOグループ(JWCSを含む15団体、Animal Welfare Institute, Born Free Foundation, Born Free USA, The Center for Biological Diversity, Environmental Investigation Agency,  Humane Society International , International Fund for Animal Welfare. Natural Resources Defense Council, ProWildlife, SSN, Whale and Dolphin Conservation, Wildlife Impact, Wildlife Conservation Society, WWF)からは、水産庁が鯨肉を健康に良いと広告したり、イスラム教の戒律に沿った食品であることを証明する「ハラール認証」を取得したりしている例を挙げて、鯨肉が商用になっていることを指摘しました。
 
唯一日本政府を支持したのは野生動物利用の立場のNGO、IWMCのユージン・ラポワント氏だけでした。
 
日本政府は来年に条約事務局の調査団を招待することになり、結果と勧告は次回の常設委員会で報告されることになりました。
訂正:調査団の来日時期は述べられておらず、2018年10月の次回常設委員会で調査の結果が報告されることになっています。
 
(鈴木希理恵 JWCS)