【2月28日】生物多様性国家戦略パブリックコメント提出

 2022年12月に開催された生物多様性条約第15回締約国会議で、2030年までの目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択されました。これを受け日本の生物多様性国家戦略が更新されます。その「次期生物多様性国家戦略(案)」に対する意見募集(パブリックコメント)がありました。
 JWCSからは、2022年3月に開催した、IUCN日本委員会主催「生物多様性国家戦略を考えるフォーラム2022-2030<ネイチャーポジティブ>を目指して」の分科会「持続可能な漁業とシーフード」での提言(※)や日頃の活動から国際的な取り組みについて、以下の意見を提出しました。

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■漁業に関する行動計画
・単に都道府県、漁業者団体等による各種指定区域であること、漁業権が設定されていることを以て「「海洋生態系の健全な構造と機能を支える生物多様性の保全及び生態系サービスの持続可能な利用を目的として」管理された区域とは到底言えない。
・水産管理の目標年度が2023年度までになっているので2030年を達成年とした目標として、さらなる対象魚種及び漁業の拡大を目標に設定すべきである。 
・外部有識者を含めた透明性のある審査により、乱獲につながる日本の漁業補助金を特定し改め、国際市場で優位に立つ持続可能な漁業を目指すべきである。
・予防的な管理基準や漁獲枠の設定をすべきである。
〇これらの意見について「御意見に対する考え方」にコメントはありませんでした。生物多様性保全に対して消極的な日本の水産行政の「変わらなさ」が国家戦略から見て取れました。
■国内の政策
・「飼養動物の飼育などの経験」が、どのように「野生動物を含む人と動物の適切な関係」につながるのか明確になってない。とくに野生動物については、餌やりやクジラ・イルカウォッチングでの対象への近づきすぎなどに対しての最新の知見に基づく指針や、自然体験を通じての野生動物と人との距離の体得が必要である。
〇この意見には、ワイルドライフカレッジで取り上げたホエールウオッチングの事例を挙げました。そして論理の飛躍の指摘に対し「人と動物の共生に係る理解が醸成されるきっかけのひとつ」と修文されました。今後どのようなプログラムになるか注目していきます。
・種の保存法は不起訴の割合が多く、違法取引の流通ルートが追いにくい仕組みになっている。
・公共事業における外来種等の使用回避・拡散防止について、地域性種苗の利用は、国内外で採取された野生種や外国産の同種が紛れ込まないための管理と、導入種苗の来歴(原産地・栽培歷等)を記録するシステムが必要である。
・国交省の行動計画には「自然と生物にやさしい海域環境の創造と親水性の高い海域空間の創出」「自然に優しい水域環境の創造及び安全で安心な水辺空間の創出」と、環境省の環境表示ガイドラインで避けるとした「自然にやさしい」がいまだに使われている。公共工事は「予防的アプローチを取り入れ、順応管理をする」べき。
〇これに対するコメントはありませんでした。
■国際的な取り組み
・日本国内の自然資源の在り方の見直しだけでなく「サプライチェーンも含む我が国の自然資源の利用のあり方を見直す必要がある」に修文すべきである。
・ボン条約について「我が国は、本条約で捕獲が禁止される動物について我が国とは意見を異にする部分があるため、本条約を批准していない」としているが、国民の総意とは言えないので批准すべきである。
・ワシントン条約における留保(附属書掲載種を自国だけ対象外とする措置)の撤回
・ゾウ密猟監視への支出が象牙取引再開を期待しての国費の支出であるならば、一部の事業者の利益のためになってしまい、納税者への説明がつかない。むしろ日本は大量の象牙を保有する過去の輸入国であるという認識から、象牙国内市場閉鎖をし、ゾウ密猟監視の支援も続けるべきである。
〇これらの意見に対しては、その意図とずれた回答でした。また支援の金額は変動があるので示せないとのことでした。

 今回の生物多様性国家戦略は1995年の第1次から数えて第5次になります。普通種を保全の対象とするなど前進もありましたが、生物多様性をめぐる人々の意識や自然・社会の状況の変化と、国家戦略の特に省庁別の行動計画は乖離しているように思いました。国家戦略の点検結果でもパブリックコメントの募集があります。JWCSは繰り返し提言をしていきます。
 
※「持続可能な漁業とシーフード」:分科会提言
https://www.jwcs.org/data/20221104_sanada_seafood_pro.pdf

中央環境審議会 自然環境部会(第46回)配布資料(2023年3月13日)
次期生物多様性国家戦略(案)に関する意見募集(パブリックコメント)の結果
https://www.env.go.jp/council/content/12nature03/000118695.pdf
答申案
https://www.env.go.jp/content/000107436.pdf