世界の絶滅危惧種を評価するIUCNレッドリスト

国際自然保護連合(IUCN)はJWCSがメンバーになっている国際組織です。そのIUCNが作成するレッドリストは、地球規模で種の保全状況を調査し、絶滅のおそれのある種をリストアップしています。IUCNレッドリストは、世界の研究者によって構成されるIUCN種の保存委員会(SSC)や、国際的に野生生物の保護研究活動を行っている団体の協力などによって作成されます。※1新規タブまたはウインドウで開きます

2014年に発表されたIUCNレッドリストでは、絶滅のおそれのある種(CR,EN,VU)の割合が両生類の41%(推定値の下限31~上限56%以下同)、サメとエイの31%(17~63%)、哺乳動物の25%(21~36%)、鳥類13%(13~14%)となっています。※2新規タブまたはウインドウで開きます

IUCNでは、2020年までに16万種を評価するという目標を立てています。まだ生息の状況が調べられていない種が、絶滅の脅威にさらされているおそれがあります。
絶滅の原因となっているのが、哺乳類では「生息地の喪失」が最大で、次が「利用」です。※3新規タブまたはウインドウで開きます

・グラフデータ出典
IUCN Redlist “Numbers of threatened species by major groups of organisms(1996-2014)新規タブまたはウインドウで開きます

「絶滅のおそれ」を評価する基準

「絶滅のおそれ」は絶滅リスクに応じたカテゴリーに分かれています。

※IUCNレッドリストカテゴリーと基準3.1版(日本語)は一般財団法人 自然環境研究センター新規タブまたはウインドウで開きますのウェブサイトからダウンロードできます。

二ホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の現状

全文ダウンロード 二ホンウナギの生息状況と日本におけるウナギ養殖・販売の状況

スローロリスの違法取引

スローロリス類は東南アジアの森林に生息する夜行性のサルです。森林伐採や密猟のため絶滅の危機にあります。そのため2007年9月13日からワシントン条約で国際取引が原則禁止(附属書Ⅰ)になりました。
国際取引が禁止される以前も、スローロリス類はワシントン条約で輸入に許可が必要な動物(附属書Ⅱ)でした。さらに2005年以降は人間と動物で共通の感染症を防止するため、ペット目的のサルの輸入は禁止されています。それにもかかわらず附属書Ⅱの動植物種は国内に入ってしまえば規制の対象にならないため、多くのスローロリス類が密輸されていました。

スローロリス類がワシントン条約附属書Ⅰに掲載されると、国内法の種の保存法により国内の流通が規制され、密輸は減少しました。種の保存法の効果があった事例と言えます。
現在では、スローロリス類が附属書Ⅰになった2007年9月13日以前に輸入した、もしくは日本で生まれたと登録した個体しか、売買や販売目的の陳列、無料であげることができません。

2013年6月に、死んだスローロリスの登録票を流用した違法取引で逮捕者が出ました(オピニオンブログ 2013年6月22日記事 参照)新しいタブまたはウインドウで開きます。登録票の不正使用を防ぐには、スローロリス類を1頭1頭見分けるための情報を登録することが重要です。
JWCSはこのスローロリスの件を例に、2014年5月、環境省が募集したパブリックコメントに「種の保存法施行規則等の改正案に関する意見」PDFを提出しました。
またスローロリス類の種の見分け方は、スローロリス類の保護団体「Little Fire face Project」が研究し、「識別ガイド」を発行しています。

スローロリス識別ガイド最新版(日本語訳・印刷用)PDF

絶滅危惧種をペットとして飼うことは、日本の国内法では合法であっても、需要を喚起し、現地の野生生物に影響を与えます。例えば、ペットのスローロリスの動画をインターネットに投稿したことが、密輸を促しているという研究があります。注4)
絶滅危惧種をペットとして飼うことは、間接的に犯罪に加担する可能性があることも考慮する必要があります。

注4)K. Anne-Isola Nekaris, Nicola Campbell, Tim G. Coggins, E. Johanna Rode, Vincent Nijman (2013) Tickled to Death: Analysing Public Perceptions of ‘Cute’ Videos of Threatened Species (Slow Lorises – Nycticebus spp.) on Web 2.0 Sites.」PDF

スローロリス属の生体の日本への合法輸入頭数の経年変化
図1:スローロリス属の生体の日本への合法輸入頭数の経年変化(出典:CITES Trade database)

スローロリス属の生体の密輸頭数と件数の経年変化
図2:スローロリス属の生体の密輸頭数と件数の経年変化(出典:財務省 ワシントン条約該当物品輸入差止等実績)

日本でのスローロリス取引の問題を指摘した論文公開

ペットにされるスローロリス今月上旬、英国にあるオックスフォードブルックス大学の研究者による二つの論文が専門誌に公開されました。二つの論文はどちらも日本でペットとして飼育される絶滅危惧種のサル、スローロリスについてのものです。そして当会はその論文の1でつ日本での違法取引に関する調査に協力しました。
(スローロリスの違法取引についてはこちらから)

JWCSが調査に協力した論文(英文)新しいタブで開きますは、スローロリスの販売に必要な登録票のない個体のネット広告を出していたり、規制前の2007年9月以前に取得した登録票を掲示して若いスローロリスを売っていたりした事例を挙げています。
この論文は2月4日の東京新聞など日本の地方紙とJapanTimes、英国のTimes紙、9日のTBS「Nスタ」などで報道されました。

もう一つの論文(英文)新しいタブで開きますは、日本のスローロリスの飼い主が投稿した動画から、動物福祉の世界基準に反する不適切な飼育がされていることが分かった、というものです。スローロリスがストレスを受けていることを知らずに、リツィートしたり、FACEBOOKでシェアしたり、「いいね!」するなどよい評価が集まると、これがスローロリスの自然の姿だという誤解を招いてしまったり、SNSサイトが動画の削除に応じなくなる可能性があります。また動画の人気は違法な国際ペット取引を促してしまうのです。
そのため、現在実効性のある規制強化や絶滅危惧野生動物のペット飼育に対する認識を改めることが求められています。

絶滅させないための活動

・ゴリラの生息地での活動を支援

JWCSは、JXエネルギー(ENEOS)がCSR活動の一つとして行っていた「クリックで守ろう!エネゴリくんの森」からご寄付をいただいて、ゴリラの生息地で活動する「ポレポレ基金」と「WCSコンゴ」を支援してきました。
ゴリラの保護には、ゴリラの生態や生息環境の調査だけでなく、生息地周辺の人々の理解と支援が重要です。そのためにエコツアーによる収入確保、住民の教育や生活向上などにも取り組んでいます。
これらの活動の成果は当会の会報「JWCS通信」にてご報告してきました。

・世界の野生生物の状況を発信

世界各地の野生生物の情報の多くは英語で発信されています。これらの情報が野生生物を絶滅させない選択につながるよう、経済活動を通じて世界とつながっている日本の消費者、企業、政策決定者などに伝える活動をしています。
ブログ「ワイルドライフニュース」新しいタブまたはウインドウで開きますは、JWCSの翻訳ボランティアの方々の協力により、世界各地で活動するNGOや、ワシントン条約・生物多様性条約・ボン条約などの事務局が発信する情報を日本語で紹介しています。